ギター弦は毎日どれくらい緩めるべきか?【ギター歴20年以上の筆者が考察】
ゆかめろ
もりそう
今回はギター歴20年以上の僕が、これまで得た経験を元に解説していくよ。
- 緩めいないと起きるトラブルは?
- 緩める?緩めいない?結局どっち?
- どれくらい緩める?
ギターは弦を張ることで張力が生まれ、ボディにかなりの負担を掛けています。
私は現在、10本以上のギターを所有し管理しています。
今回は弦を「緩めいないと起きるトラブル」「緩めきべきか?・緩めないべきか?」について解説しています。
この記事を読むことで自分は「どっち派」なのか分かり、ギターの保管方法が明確になります。
もりそう
結論を言うと「正解はない」です!
これまでの経験から、環境によって使い分けるのがベストだと考えています。
毎回「緩める」のが理想ですが、神経質になる必要はないです。
出来なければ出来ないでOK!
私は以下の2パターン管理しています。
- 毎日弾くのであれば緩めない。
- 当分弾かないのであれば緩める。
本当にギターが好きで毎回緩めるのが苦でない方は良いですが、正直“めんどくさい”のもあります。
特に初心者は“めんどくさい”ことでギターを弾かなくなり挫折する原因になります。
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アコギの張力を知る
「緩める」「緩めない」を考えてる上で重要なのが “張力”を知ることです。
アコギはペグとブリッジ間で約70kgの張力があるとされています。
※エレキギターは約40kg
張力は弦交換をした後に強く感じます。
チューニングする際にどんどん力が加わって、こんなに締めて大丈夫なのかと心配したことないでしょうか?
実はその時、ものすごい強い力が加わっていることになります。
張力によるトラブル
- ネック状態が悪くなる。
- ボディのトップが膨らむ。
- ブリッジがはがれる。
もりそう
「緩める」「緩めない」の理由だけで上記現象が必ず起きるとは限りませんが、原因の1つとして考えられるのは間違いありません。
ネックが反る
ギターには3つの反り方があります。
・逆反り
・ねじれ
今回の「緩める」「緩めない」で考えた時に、起こるのは”順反り”になります。
上の画像を見てください。
矢印の方向に力が加わりネックもその方向に反ってしまう現象です。
※反る原因は他にも湿度などの影響も考えられます。
【順反りはどんな影響があるのか?】
弦高が高くなり演奏性が悪くなる。
もりそう
【反りを直す方法】
最近のギターにはトラスロッドというものがネックに入っています。
ボディの内部を覗き込むとネック側にレンチで回せる金属のバーがあります。
トラスロッドを回すことで調節できます。
ギターによってはトラスロッドが入っていない場合もあるため、無い場合はプロに任せるのが無難です。
トップの膨らみ
膨らみは、張力によりブリッジがネック側に引っ張られ、沈みます。
ブリッジが沈むことでブリッジ外側が持ち上げられ、接着しているボディも持ち上げられることになります。
画像の赤丸の所が膨らんできます。
トップの膨らみは特に古いギターに多く見られる現象です。
長年、張力に耐えてきた結果になります。
ヴィンテージギター/中古ギターを購入する時は「トップの膨れ」を確認することが大事です。
【膨らむことで起きるトラブルは?】
ブリッジが持ち上げられるので「弦高」が高くなり、弾きにくい状態になります。
【膨らみを直す方法】
ほぼない!
ヒーター(熱)などを使い大掛かりなリペアを行えば直るとされますが、その効果は一時的のようです。
ヒーターを使うことで塗装やブレイシングを傷める原因にもなります。
もりそう
実際にギター本体より修理代の方が高くなることがあるんだよね…
「ブリッジ」と「サドル」を作り直す。
トップが膨れた分、ブリッジを薄くして、尚且つサドルも低くします。
ただし、ブリッジを薄くすることで音量(ボリューム)が明らに減ります。
昔の荒業として、膨らんでいる所に重い物を乗せて直したという噂を聞いたこともあります。
これは絶対マネしないでください。
ブリッジがはがれる
上記「膨らむ」で解説した通り“張力”で引っ張られることで部品が浮いてきます。
ブリッジが完全に取れることはないですが、ボディとブリッジの間に隙間が生まれます。
隙間が生まれることで弦がボディに伝わらず、ギター本来のポテンシャルを発揮できないことになります。
緩める派・緩めない派 両者の考え方
- 理論上、緩めるだけでリスク軽減できる
- トラブルは日々の蓄積から起こるから緩めるべき
- 単板なら尚更トラブルの可能性がある
- ギターは張力に耐えられるように作られている
- ギターに常に緊張感を与えておくことでネックを保てる。
- ネックが反るのはギターの品質が悪いから(制作過程で問題あり)
もりそう
「緩めない派」の考えにある「強度に耐えられるように作られている」もあくまで理論上の話です。
ギター(木材)は湿度の影響を受けやすため、季節によって木が動きます。
結果、「湿度の影響」「保管方法」様々な条件によって、耐えられる条件から外れることになります。
メーカーの見解
以下にブログ読者さんから情報を頂きました。
Taylorの場合
Taylorでは「弦を緩めないで保管してください」とホームページに記載してあります。
ざっくり説明すると、弦を緩める、緩めないはトラブルの原因にはならない。
それよりギターを保管する環境の湿度管理が大事だと言っています。
※ホームページに解説があるので気になった方はチェックしてみてください。
参考
ギターの保管管理方法についてTaylor
ウォーターロードの場合(特殊な例)
ソロギタリストの岸部眞明さんシグネチャーモデル(ウォーターロード)はトップが特殊な構造になっています。
弦の張力が無い場合はトップが凹み、張力がある場合にトップがフラットになる構造。
なぜこういう構造になっているかというと岸部さん本人が弦を緩めるのがめんどくさいと言っていたからのようです。
※この特殊な構造はウォーターロード全てのギターにあるかは不明です。
ギター歴20年以上の筆者が導き出した結論
私の経験から導き出した答えは「毎回緩める」が理想です。
ですが、正直毎回弾き終わった後に緩めるのはめんどくさい。
そこで以下の考えで私は行っています。
- 毎日弾くのであれば緩めない。
- 当分弾かないのであれば緩める。
毎日弾くのであれば緩めない
緩めないほうが毎日ギターに手を伸ばしやすいです。
チューニングがほぼ決まっているのでギターを弾くことが身近になります。
ギタースタンドに常にかけてある場合は尚更手に取りやすいです。
結果、ギターが上達するポイントになります。
5分だけ少し弾きたいなとなったとき、わざわざチューニングする時間がもったいない(めんどくさい)
当分弾かないのであれば緩める
ギターを何本も所有すると弾かないギターがどうしても出てきます。
【当分とはどれくらいの期間?】
まず自分の中でギターが弾ける環境にあるのか、ないのかの判断は大体見当が付きます。
完全に私の考えですが1週間以上弾く予定がなければ緩めます。
【どれくらい緩める?】
もりそう
緩める方向は6〜4弦は手前、3弦〜1弦は奥に回してね。
この回数は以前、マーチンメンテナンスクリニックに行った際にクロサワ楽器のスタッフさんに聞きました。
そして均等に緩める必要がある。
均等にしないとネックのねじれの原因にもつながるからです。
均等に緩めておけばもし反った場合でも直しやすいようです。
私が所有するギターの中に毎回緩めると弦が切れやすくなる個体がありました。
2弦だけがとにかく切れやすいので、プロの方に相談した所、1〜3弦の1本程度なら緩めなくても問題ないと言っていました。
マーチンメンテナンスクリニックで教えてもらった「弦を均等に緩める」からは外れますが、ギターによっては1本緩めない方法を取っています。
必ず緩めた方がいい場合がある(例外)
【ライトゲージより太い弦を使う場合】
細い
- エクストラライト
010.014.023.030.039.047 - カスタムライト
011.015.022.032.042.052 - ライト
012.016.024.032.042.053 - ライトミディアム
012.016.024.035.045.056 - ミディアムライト
013.017.026.035.045.056 - ヘビー
014.018.027.039.049.059
太い
「エクストラライト」と「ヘビー」ではギターへの負担が違います。
ほとんどのアコギメーカーは”ライトゲージ”を推奨しています。
ではそこに太い「ヘビー」を張りっぱなしにしたらどうなるのか?
張力が大きい分ギターへの負担も大きくなります。
ライトゲージより上の太さを使用する場合は毎回緩めることをオススメします。
【チューニングを上げる場合】
ソロギタースタイルの場合、レギュラーチューニングではなく特殊なチューニング(オープンチューニング)が使われます。
ほとんどがダウンチューニングと呼ばれ、チューニングを下げます。
しかし例外も!
ソロギターを演奏する方であれば変則チューニングで4弦を1音上げる場合もあります。
4弦ともなれば弦がある程度太いので、ペグを回した時に「キンキン」と鳴り出し、怖いと感じることも多々あります。
こんなに張って大丈夫かと少し怖さもあります。
こういう場合は弾き割った後、レギュラーチューニングに戻した方が良いです。
弦を完全にダルダルに緩める場合(完全に外すのはNG)
長期間弾かないからといって弦をギターから外すのは良くないとされています。
最低限ダルダルでもいので張っておく必要があります。
ダルダル状態にすることはギター本体の負担を減らす効果はもちろん、弦への負担も減らすことができ品質を保つことが可能となります。
エリクサー弦など長期間使える弦の場合は特に効果がありそうです。
これも読者さんから教えて頂きました。
是非、参考にしてみて下さい。
まとめ
今回は演奏後に弦を「緩める」「緩めない」について解説しました。
もりそう
あとはあまり神経質にならないことが大事!
トラブルが起きたらプロに直してもらえば大丈夫です。
- ギターには張力があり、トラブルを引き起こす
- 可能であれば毎回緩めるのが理想
- 神経質になる必要はない
- 「緩める」と「緩めない」に正解はない
- 緩めるのはペグを1回半~2回程度
アコギ弦の交換時期(頻度)/弦を長持ちさせる方法【初心者必見】
初心者向け/安いギター弦と高いギター弦の違いについて解説【弦の選び方】
マーチンメンテナンスクリニックとは?【Martinオーナー限定】
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もりそうさん、こんにちは
前回記事を読んで静電ブラシをamazon物色中のziziさんでしたw
僕ももりそうさんと同じく手元に置いてるときは緩めず、長期保管中は緩める派です
「アコースティック・ギター・メインテナンス・ガイド プロの現場の調整術」によれば、
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1遡間以上弾かないようなら、全弦を1音程度ゆるめておくと安心である。あまり多めに一一例えばl音半とか2音分とか一一ゆるめても、ベグを回す而伺lが増えるだけなので、1音分でよい。下げ帳よりも大切なのは、全弦を均等に落とすこと。そうすることで、長期保管中もネックには使用時と同じ方向へ力が加わることとなるので、反るにしても波打ったりねじれたりはしにくくなるはず。
ベロベロにするなとしてゆるめすぎると、それはそれでネックが自由に動きすぎてしまい、ねじれや波打ちを起こすことにもなりかねない。ほどほどの弦テンションがかかっていれば、ネックは一定の方向ヘ引張られているため、反ったとしても修理しにくいねじれや波打ちは起こりにくく、比較的修理しやすい順反りとなるはず。弦をゆるめてストレスを減らすことは大切なのだが、やみくもにゆるめるのではなく、適度にゆるめることが大切となる。
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とありますが、僕は長期保管ダルダル派(笑)
ギターのためというよりは、緩めてさえおけば何年でも持つエリクサーの保護ってこともありますが、ダルダルで数年経過してギターの方がおかしくなったこともないです
ただ、taylorのように「緩めないように」と注意書きのあるギターもあるようですから、弦のゆるめ方は「所有者の考え方+制作側の指示」ってことでしょうか
ちなみに、うちのtaylorは2本ともダルダルですけど(笑)
自動車輸送時は上記の本でももりそうさんと同じく「ダルダル」が安心だそうです
ただ、最近はヤマトも佐川もハードケース無しでは受付もしてくれなくなってます。輸送時のトラブルって思う以上に多いのかも知れませんね
しかし、こうしてギター保管についていろんな人の考えを聞けることは「答えがない」だけにとても貴重ですね
いつも感謝してます!!!!
ziziさん
こんにちは!
長文ありがとうございます!
勉強なります。
taylorって緩めてだめなんですね!
ブランドによっても対応が異なるのでどれが正解なのかわかりません。
また弦を緩めることで弦の品質を保つ役割もあるとは。ギターのことばかりで弦の事は考えたことなかったです!
新たな発見でした!
こちらこそありがとうございます!
ziziさんから頂いた情報は後で追記させてもらいます(^ ^)
ちなみにtaylorの公式見解です
「ギターの保管管理方法について」
https://www.taylorguitars.jp/support/management/
なんかこうはっきり書かれると、ダルダル保管の我が家のtaylorがちょっとだけ心配になってきます(笑)
ありがとうございます!
参考にさせてもらいます(^^)
こんにちは
張りっぱは理想ですが個体によりますよね、なんともないものからすぐダメになるものen guitarの店主は1弦と3弦切れるから緩めないと言ってた気がします、それぞれ様子見ながら判断してるんですが、なんともなかったメインギターが季節の変わり目に急におかしくなりやっぱり 少しでも緩めるのがいい気がします。
もりぞうさんには今後 名機 について語って欲しいです、D18 ovation sj-200 yw-1000 B-25 安物買いの銭失いなのでこれからは歴史的名機を狙っていきたいので 、とりあえず自分では買えないので、もりぞうさんに買って頂いて レポお願い致します。
deiqunさん こんばんは!
やはり季節の変わり目はトラブルが起きやすいのかもしれませんね。
個人的考えですが、新しいギターと古いギターでも変わるような気がします。古い方が安定しているイメージ…
私も欲しいギターはいっぱいあるのですが、なかなか…
最近は安物買いの銭失いです。