ギター弦は毎日どれくらい緩めるべきか?【ギター歴20年以上の筆者が考察】

弦は緩めないor緩める?

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この記事はこんな人にオススメ
  • 緩めいないと発生するトラブルについて知りたい
  • 毎日どれくらい緩めればいいか知りたい
  • 結局どっちか正しいのか知りたい
もりそう
もりそう

普通に考えれば、緩めた方がいいように思うよね。

安いギター、高級ギターに関係なく、ギターにトラブルはつきものです。

木材は、湿気を吸ったり、吐いたり呼吸しており、目には見えませんが動いています。

神経質になる必要はなく、ちょっと意識するだけでも十分意味があります。


張力が引き起こすトラブル
  • ネックが反る
  • ボディのトップが膨らむ
  • ブリッジがはがれる

弦を緩めてもトラブルが起きるギターもあれば、トラブルが起きないギターもあります。

ギターの個体差は1本1本違いますし、人によって保管環境も違うため、断定した答えが出せません。

結果、自分の納得するポイントを見つけて、対策することになります。

緩める、緩めないだけを注視しがちですが、実は保管方法(置き方)と密接した関係にあります。

弦を緩めたから大丈夫と思っても、ネックに負担を掛ける保管方法(置き方)を取ったことで、トラブルが発生する場合も多いです。

「緩める・緩めない」+「保管方法(置き方)」を1セットと覚えてください。

もりそう
もりそう

僕は、毎日弾くのであれば、緩めたり、締めたりを繰り返して負荷をかけるより、ある程度同じ状態を保っていた方がいいという考えだよ。

筆者の場合

・毎日弾くのであれば緩めない

・当分弾かないのであれば緩める

※緩める場合は、ペグを1回半~2回程度、均等に緩める。

緩める派・緩めない派の考え方

緩める派

  • 理論上、緩めるだけでリスク軽減できる
  • トラブルは日々の蓄積から起こるため緩めるべき
  • 単板なら尚更トラブルの可能性がある

緩めない派

  • ギターは張力に耐えられるように作られている
  • ギターに常に緊張感を与えておくことでネックを保てる
  • ネックが反るのはギターの品質が悪いから(制作過程で問題あり)
  • 弦が切れやすくなる
  • 毎回、緩めるのがめんどくさい

個人、楽器店、メーカー、個人制作家によって考え方は様々です。

なぜ、今だに2つの考えがあるかというと、ギターによって個体差があるからです。

ギターはメーカー、品番、生産年、生産ロットが同じでも、全く同じ個体は存在しません。

同じ木材でも、特性が変わるからです。

・曲がりやすい(曲がりにくい)

・水分を吸収しやすい(吸収にくい)

・割れやすい(割れにくい)

・重い(軽い)

・油分が多い(少ない)

・乾燥期間が長い(短い)

・その他多数

例えば、同じロットで100本生産しても、その後世界中の楽器店に行き渡り、個人の手元に届きます。

同じギター(何十本、何百本)を、同じ環境で何十年も、経過観察することはできないため、理論上の答えしか出せないことになります。

もし緩める・緩めないで悩んだら、両者の考えを参考に、自分の納得するポイントを決めるのも1つの手です。

補足

ギタリストの石川鷹彦さんは、部屋にギタースタンドを数十本並べ、緩めずに置いています。

すぐに手を伸ばし、いつでも弾ける状態にしておきたいからだそうです。

張力によるトラブル

張力が引き起こすトラブル
  • ネックが反る
  • ボディのトップが膨らむ
  • ブリッジがはがれる

緩める・緩めないを考えてる上で重要なのが “張力”を知ることです。

アコースティックギターは、ペグとブリッジ間で、約70kgの張力があるとされています。

※エレキギターは約40kg

心配であれば多少緩める対策を取ればいいですし、ギターは張力に耐えられるように作られているから緩める必要はないという考えもありです。

張力は、弦交換をした後に強く感じます。

チューニングする際に、どんどん力が加わって、こんなに締めて大丈夫なのかと、心配になることがあります。

見えない所で、凄い力が働いていることを覚えておいてください。

緩める・緩めないの理由だけで上記現象が必ず起きるとは限りませんが、原因の1つとして考えられるのは間違いありません。

もりそう
もりそう

トラブルが演奏性を悪くしたり、弦がボディまでうまく伝わらず、ギター本来のサウンドが出せなくなる原因になるんだ。

ネックが反る

ギターには3つの反り方がある
  • 順反り
  • 逆反り
  • ねじれ

緩める・緩めないで考えた時に、起こるのは”順反り”になります。

上の画像を見てください。

矢印の方向に力が加わり、ネックもその方向に反ってしまう現象です。

※反る原因は他にも湿度などの影響も考えられます。

順反りは、弦高が高くなり、演奏性が悪くなります。

もりそう
もりそう

初心者であれば、弾きにくいことで挫折する原因の1つになるから、「ネックを良い状態で保つこと」「適切な弦高にすること」が大事だよ。

反りを直す方法

最近のギターには、「トラスロッド」というものがネックに入っています。

ボディの内部を覗き込むと、ネック側に金属のバーがあるため、6角レンチで回して調整出来ます。

注意(SQネックは調整できない)

マーチンのヴィンテージに採用されているのが、SQ(スクエアロッド)ネックです。

金属の角材が入った仕様で、ネック調整ができません。

楽器店でリペア(修理)する必要があります。

トップの膨らみ

張力により、弦が固定されているブリッジが、ネック側に引っ張られ沈みます。

ブリッジが沈むことで、ブリッジ外側が持ち上げられ、接着しているボディも持ち上げられることになります。

結果、「弦高」が高くなり、弾きにくい状態になります。

画像の赤丸の所が膨らんできます。

トップの膨らみは、特に古いギターに多く見られる現象です。

長年、張力に耐えてきた結果になります。

補足

ヴィンテージギター/中古ギターを購入する時は「トップの膨れ」を確認することが大事です。


膨らみを直す方法
個人で直すのは不可能です。

ヒーター(熱)などを使い、大掛かりなリペアを行えば直るとされますが、その効果は一時的のようです。

ヒーターを使うことで、塗装やブレイシングを傷める原因にもなります。

もりそう
もりそう

修理代が高額だから、そこまで手を掛けるギターなのか判断する必要があるね。
実際にギター本体より、修理代の方が高くなることがあるんだ。

膨らみを直さなくても弾きやすくする方法

トップが膨れた分、ブリッジを薄くして、尚且つサドルも低くします。
ただし、ブリッジを薄くすることで、音量(ボリューム)が明らに減ります。

ブリッジが剥がれる


上記「トップが膨らむ」で解説した通り、“張力”で引っ張られることで、ブリッジが浮きます。

ブリッジが完全に取れることはないですが、ボディとブリッジの間に隙間が生まれます。

隙間が生まれることで、弦がボディに伝わらず、ギター本来のポテンシャルを発揮できないことになります。

ギターの保管方法

冒頭に、「緩める・緩めない」+「保管方法(置き方)」を1セットと覚えてくださいと記載しました。

それくらい重要になります。

適したギタースタンドを使う

特徴

立て掛け
・最も一般的なスタンド
・安価で入門セットにも採用
・バランスがやや不安定
・特殊形状ギターは不可

吊り下げ
・ネック部で固定
・ネックへの負担が減る
・ギターのバランスが良い
・特殊形状ギターに使える

オススメNo.2

ネック固定無し
・簡単に組み立て可能
・持ち運びに便利
・全体的にバランスが悪い

ラック(ボックス)
・省スペースにまとめて収納
・大型なので圧迫感がある

壁掛け
・壁に取り付けるタイプ
・ネック部で固定
・ネックへの負担が減る
・ギターのバランスが良い
・特殊形状ギターに使える

オススメNo.1

楽器を置くスタンドで一番適しているのは「壁掛け」です。

壁掛けは、ギターとスタンドが触れる場所がネックのみで、ギターの重力が真っ直ぐになり、張力の負担を軽減できます。

床に置く、吊り下げは同じように見えますが、ボディがスタンドに触れるため、厳密には真っ直ぐではありません。

以上の理由から、多くの楽器店では壁掛けを多く採用しています。

人によっては、賃貸で壁につけられない、新築で壁に穴を開けたくない人もいます。

もりそう
もりそう

2×4材を購入して、部屋に突っ張り方式で柱を作り、取り付けるのもオススメだよ。

もっと厳重に保管したければ、湿度管理も同時にできる防湿庫がオススメです。

適したケースの置き方

特徴

縦置き(壁)
ヘッドが上向き
・一番適している
・倒れるリスクがある

オススメNo.1

縦置き(床)
ケースの取手が上向き
・倒れるリスクが少ない

オススメNo.2

横置き(床)
ケースの取手が横向き

・保管に適していない

縦置き(壁)の画像は撮影用に何もない場所に置いています。

実際は壁や物との間いに置いて、倒れないように対策をする必要があります。

一番適しているのが縦置き(ギターヘッドが上向き)です。

ギタースタンドと同じで、ネックに負担をかけない保管をするが大事です。

横置きはケースから取り出しやすいですが、重力や張力の負担が大きいため、保管には向いていません。

置き方も改めて見直してみてください。

補足

ケース内は完全密閉ではないため、長期間入れておくのも安全とは言えません。

定期的に出して弾いてやる(空気の入れ替え)ことが大事です。

湿度調整材なども活用することをオススメします。

各メーカーの見解

Taylorの場合

※ブログ読者さんから、Taylorの情報を頂きました。

Taylorでは「弦を緩めないで保管してください」とホームページに記載されています。

簡単にまとめると、弦を緩める、緩めないはトラブルの原因にはならない。

それより、ギターを保管する環境の「湿度管理」が大事だと言っています。

木材は、乾燥すると縮み、湿気が多いと膨らみます。

収縮の動き幅が多い中で、張力を変えると、トラブルが起きやすくなるからです。

湿度管理(40〜60%目安)を、適正にすることが大事のようです。

YAMAHAの場合

1ヶ月以上弾かない場合は、ペグを1〜2回ほど弦を回して緩めることを推奨しています。

TAKAMINEの場合

温度・湿度など住んでいる地域によっても変わるとしています。

長期間使用しない場合は、半音〜1音ほど弦を回して緩めることを推奨しています。

もりそう
もりそう

日本と海外では環境も違うし、日本国内でも四季によって環境が変わるから、明確な答えは出せないね。

筆者が導き出した結論

私の経験から導き出した答えは、人それぞれの「環境によって使い分ける」です。

ゆかめろ
ゆかめろ

「環境の使い分け」がわからない…

もりそう
もりそう

僕は1週間を目安に考えているんだ。

1週間以内に弾くなら緩めないし、弾かないなら緩める。

ざっくりした考えでいいよ。

筆者の場合

・毎日弾くのであれば緩めない

・当分弾かないのであれば緩める

※緩める場合は、ペグを1回半~2回程度、均等に緩める。

毎日弾くのであれば緩めない

緩めない方が、毎日ギターに手を伸ばしやすくなります。

チューニングがほぼ決まっているため、ギターを弾くことが身近になります。

ギタースタンドに常にかけてある場合は、尚更手に取りやすいです。

結果、挫折する確率が減り、上達するポイントになります。

5分だけ少し弾きたいなとなったとき、わざわざチューニングする時間がもったいないと感じてしまうからです。

当分弾かないのであれば緩める


ギターを何本も所有すると、弾かないギターがどうしても出てきます。

まず自分の中で、ギターが弾ける環境にあるのか、ないのかの判断は大体見当が付きます。

私は、1週間以上弾く予定がなければ緩めます。

どれくらい緩める?

もりそう
もりそう

ペグを1回半~2回程度、均等に緩めることが大事だよ。

この回数は以前、マーチンメンテナンスクリニックに行った際に、クロサワ楽器のスタッフさんに教えて頂きました。

均等にしないと、ネックのねじれの原因にもつながります。

均等に緩めておけば、もし反った場合でも直しやすくなります。

弦が切れることが多くなる

私が所有するギターの中に、毎回緩めると弦が切れやすくなる個体があります。
2弦だけがとにかく切れやすいので、プロの方に相談した所、1〜3弦の1本程度なら、緩めなくても問題ないと言っていました。
マーチンメンテナンスクリニックで教えてもらった「弦を均等に緩める」からは外れますが、ギターによっては1本緩めない方法を取っています。

必ず緩めた方がいい場合がある(例外)

※太さはメーカーによって多少異なる場合があります。

ライトゲージより太い弦を使う場合

「エクストラライト」と「ヘビー」ではギターへの負担が違います。

ほとんどのアコギメーカーは”ライトゲージ”を推奨しています。

太い「ヘビー」を張りっぱなしにすると、ギターへの負担も大きくなります。

ライトゲージより、上の太さを使用する場合は、毎回緩めることをオススメします。


チューニングを上げる場合

ソロギタースタイルの場合、レギュラーチューニングではなく、特殊なチューニング(オープンチューニング)が使われます。

ほとんどが、ダウンチューニングと呼ばれ、チューニングを下げますが、例外もあります。

ソロギターを演奏する人であれば、変則チューニングで4弦を1音上げる場合もあります。

4弦ともなれば、弦がある程度太いので、ギターへの負荷が大きくなります。

演奏後は、レギュラーチューニングに戻しておくことをオススメします。

まとめ

張力が引き起こすトラブル
  • ネック状態が悪くなる
  • ボディのトップが膨らむ
  • ブリッジがはがれる

弦を緩めてもトラブルが起きるギターもあれば、トラブルが起きないギターもあります。

ギターの個体差は1本1本違いますし、人によって保管環境も違うため、断定した答えが出せません。

結果、自分の納得するポイントを見つけて、対策することになります。

緩める・緩めない問題は、湿度管理(40〜60%目安)も併せて考えると尚良いです。

もりそう
もりそう

張力や湿度を意識だけで、ギターに接する考えも変わるよ。

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6 COMMENTS

zizi

もりそうさん、こんにちは
前回記事を読んで静電ブラシをamazon物色中のziziさんでしたw

僕ももりそうさんと同じく手元に置いてるときは緩めず、長期保管中は緩める派です
「アコースティック・ギター・メインテナンス・ガイド プロの現場の調整術」によれば、
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1遡間以上弾かないようなら、全弦を1音程度ゆるめておくと安心である。あまり多めに一一例えばl音半とか2音分とか一一ゆるめても、ベグを回す而伺lが増えるだけなので、1音分でよい。下げ帳よりも大切なのは、全弦を均等に落とすこと。そうすることで、長期保管中もネックには使用時と同じ方向へ力が加わることとなるので、反るにしても波打ったりねじれたりはしにくくなるはず。
ベロベロにするなとしてゆるめすぎると、それはそれでネックが自由に動きすぎてしまい、ねじれや波打ちを起こすことにもなりかねない。ほどほどの弦テンションがかかっていれば、ネックは一定の方向ヘ引張られているため、反ったとしても修理しにくいねじれや波打ちは起こりにくく、比較的修理しやすい順反りとなるはず。弦をゆるめてストレスを減らすことは大切なのだが、やみくもにゆるめるのではなく、適度にゆるめることが大切となる。
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とありますが、僕は長期保管ダルダル派(笑)
ギターのためというよりは、緩めてさえおけば何年でも持つエリクサーの保護ってこともありますが、ダルダルで数年経過してギターの方がおかしくなったこともないです
ただ、taylorのように「緩めないように」と注意書きのあるギターもあるようですから、弦のゆるめ方は「所有者の考え方+制作側の指示」ってことでしょうか
ちなみに、うちのtaylorは2本ともダルダルですけど(笑)

自動車輸送時は上記の本でももりそうさんと同じく「ダルダル」が安心だそうです
ただ、最近はヤマトも佐川もハードケース無しでは受付もしてくれなくなってます。輸送時のトラブルって思う以上に多いのかも知れませんね

しかし、こうしてギター保管についていろんな人の考えを聞けることは「答えがない」だけにとても貴重ですね
いつも感謝してます!!!!

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もりそう

ziziさん
こんにちは!
長文ありがとうございます!
勉強なります。
taylorって緩めてだめなんですね!
ブランドによっても対応が異なるのでどれが正解なのかわかりません。
また弦を緩めることで弦の品質を保つ役割もあるとは。ギターのことばかりで弦の事は考えたことなかったです!
新たな発見でした!
こちらこそありがとうございます!
ziziさんから頂いた情報は後で追記させてもらいます(^ ^)

返信する
deiqun

こんにちは
張りっぱは理想ですが個体によりますよね、なんともないものからすぐダメになるものen guitarの店主は1弦と3弦切れるから緩めないと言ってた気がします、それぞれ様子見ながら判断してるんですが、なんともなかったメインギターが季節の変わり目に急におかしくなりやっぱり 少しでも緩めるのがいい気がします。
もりぞうさんには今後 名機 について語って欲しいです、D18 ovation sj-200 yw-1000 B-25 安物買いの銭失いなのでこれからは歴史的名機を狙っていきたいので 、とりあえず自分では買えないので、もりぞうさんに買って頂いて レポお願い致します。

返信する
もりそう

deiqunさん こんばんは!
やはり季節の変わり目はトラブルが起きやすいのかもしれませんね。
個人的考えですが、新しいギターと古いギターでも変わるような気がします。古い方が安定しているイメージ…
私も欲しいギターはいっぱいあるのですが、なかなか…
最近は安物買いの銭失いです。

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