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- J-160Eの仕様ついて知りたい
- ビートルズとの関係性を知りたい
- 選び方について知りたい
Gibson J-160Eと言えば、ビートルズのメンバーが使用していたことで有名なギターです。
リイシューモデル(再販モデル)やビートルズモデル(限定)も多々あるため、どれを購入したらいい迷います。
今回は、J-160Eの歴史に触れながら、仕様についても解説していきます。

仕様によって別物の個体になるから、購入を検討している人は参考にしてみてね。

J-160Eの歴史

時代背景により登場
1950年代はエレクトリック・ギターが全盛期で、アコースティックギターをライブで使用する場合、生音をマイクで拾う必要があり、音質や音量の安定性に課題がありました。
そのような時代背景がある中で、Gibson初のピックアップを搭載したモデルCF-100Eが登場します。
CF-100Eとは?
1951〜1959年に製造され、J-160Eの元になったモデルとされる小型ギターです。
内蔵ピックアップの搭載は、アンプで音を増幅できるアコースティックギターとして革新的で注目されました。
ただし、当時の市場では小型アコースティックギターに対する需要が限定的だったため、CF-100Eはあまり広く普及しませんでした。
※ピックアップが搭載されていないCF-100もあります。
1954年にCF-100Eの後継的な位置づけモデルとして、J-160Eが登場します。
J-160EはCF-100Eの基本コンセプト、エレクトリックアコースティックギターのアイデアを引き継ぎつつ、大きなボディであるドレッドノートスタイルを採用することで、より豊かなサウンドを実現しました。
J-160Eのドレッドノートボディは多くのミュージシャンに受け入れられていきます。
生産停止と再開
J-160Eは生産停止と再開を繰り返しています。
1954年に登場し、その後長い間、Gibsonのラインナップの中で重要なモデルとして生産されましたが、時代の変化や市場の需要が減ったことで、1979年にJ-160Eは生産が停止されます。
Gibsonは他の人気モデルに生産を集中させたことも理由の1つです。
しかし、ビートルズのジョン・レノン、ジョージ・ハリスンが使用したことで、J-160Eは伝説的なギターとなり、1990年代に入るとリイシューモデル(再販モデル)として生産が再開されました。
2000年代以降も、レギュラー品含め、ビートルズ関連のリイシュー版や限定版が何度かリリースされています。
ビートルズ関連は、通常のラインナップとして継続的に生産されるものではなく、限定生産であったため、すべての個体が手に入りにく状態です。
その後、レギュラー品は2015年に再び生産が停止されます。
結果、中古市場において在庫が少ない状況になっています。

今後も数量限定でJ-160Eの復活があるかもしれないね。
J-160Eとビートルズ

入手から現在
J-160Eが注目を浴びるようになったのは、ビートルズのジョン・レノンやジョージ・ハリスンが数々の名曲を生み出し、人気を世界中に広めたのが大きな理由です。
彼らとJ-160Eの関係性について解説していきます。
1962年のイギリスではJ-160Eがまだ輸入されていなかったため、ジョン・レノンとジョージ・ハリスンは揃ってリバプールの楽器店(ラッシュワース)で注文し、1962年製のJ-160Eを入手します。
当時の伝票には以下のシリアルナンバーの記録が残っています。
ジョン・レノン | :73161 |
ジョージ・ハリスン | :73157 |
彼らがJ-160Eを選んだ理由は、エレクトリックギターのようにアンプでの音のコントロールが可能でありながら、アコースティックギターのような自然な音色を持っている点に魅力を感じたためだそうです。
しかし、ジョン・レノンのJ-160Eは、1963年末のビートルズのツアー中に盗難にあいます。
1964年からのレコーディングではジョージ・ハリスンのJ-160Eを借りています。
その後すぐに2本目として、1964年製のJ-160Eを入手し、レコーディングやステージで使用されます。
1965年頃に2人のJ-160Eは、ピックアップの位置を指板付近からブリッジ付近へと移動させる大改造を行います。
ブリッジ付近に移動させることで、サウンドが硬めになり、よりエレキギターのようになります。
1966年の来日公演時には、サブとして用意されていました。
1967年頃になるとギターにペイントするのが流行り、ジョン・レノンもJ-160Eにペイントを施します。
しかし、その流行は長続きせず、1969年頃に塗装を全て剥がし、ナチュラル・フィニッシュカラーになり、ピックアップ位置も従来の指板付近へと戻されます。
ジョン・レノンのJ-160Eはピックアップ跡(穴)が目立ちにくいですが、ジョージ・ハリスンのJ-160Eには、ピックアップを移動した時の穴が目立つように残っています。
その後、ジョン・レノンとオノ・ヨーコによる平和活動「ベッド・イン」の際に、ギターにジョン・レノンとオノ・ヨーコの似顔絵を描きました。
似顔絵が2つ描かれているのはイベントが2回あったからです。
平和活動「ベッド・イン」とは?
1969年にジョン・レノンとオノ・ヨーコが結婚し、ハネムーン先でマスコミをホテルの部屋に招き入れ、平和について語ったイベンです。
ハネムーンをマスコミに取り上げらえるくらいなら、平和について訴えようという意図があったようです。
1回目:アムステルダム(1969年3月)
2回目:モントリオール(1969年6月)
2015年に、盗難で紛失したJ-160Eが発見され、オークションで、230万ドル(約3億円)という驚くべき価格で落札されました。
見つかったギターのシリアルナンバーを見ると、なんとジョージ・ハリスンの73157でした。

実は2人が所有するギターはどこかで入れ替わって使用されていたみたいなんだ。
だから見つかったのは、ジョン・レノンのギターであり、ジョージ・ハリスンのギターでもあるね。
これらのエピソードは、J-160Eがビートルズファンにとってどれほど重要な存在であるかを物語っています。
1962年製と1964年製の違い
1962年製 (1本目) | 1964年製 (2本目) | |
---|---|---|
ロッドカバー | 1点留め | 2点留め |
ブリッジ | 木製 | 樹脂製 |
サドル | 丸頭 | 角頭 |
ブリッジピン隣 | パールドット | なし |
ピックアップ カバー | カットなし | カットあり |
年式表記 | 内部にスタンプ | 内部にラベル |
ジョン・レノンが最初に手に入れた1952年製は盗難で紛失しますが、2本目として1964年製のJ-160Eを手に入れます。
しかし、1962年製を気に入っていたこともあり、度々ジョージ・ハリスンのJ-160E(1962年製)を借りることがあったようです。
J-160Eのサウンドを聴く
- I Feel Fine
- A Hard Day’s Night
- Love Me Do
- This Boy
- I Should Have Known Better
- Norwegian Wood
- A Taste Of Honey
- Please Please Me
ジョン・レノンとジョージ・ハリスはJ-160Eの使い方が異なっていました。
ジョン・レノンは生音をマイクで拾う使い方が多いのに対して、ジョージ・ハリスンはアンプを使ったサウンド作りが多かったようです。
当時のJ-160Eに搭載されていたP-90(ピックアップ)だから出来た曲も多いです。
P-90はノイズが出やすいですが、その弱みも生かして曲中に入れてしまうのが、ビートルズの凄い所です。
I Feel Fineという曲の冒頭に聴くことができます。

曲によってはエレキギターのように聞こえるけど、J-160Eのサウンドなんだよ。
J-160Eの構造について
オリジナル仕様と変更履歴
トップ | :マホガニー(単板) |
サイド&バック | :マホガニー |
ネック | :マホガニー |
指板 | :ローズウッド(ハカランダ) |
ブリッジ | :ローズウッド(ハカランダ) |
ブレイシング | :ラダーブレイシング |
ジョイント | :15フレット |
フレット | :19フレット |
ナット幅 | :43mm |
スケール | :24-3/4(約628.65mm) |
ピックアップ | :P-90 |
年号 | 変更内容 |
---|---|
1954年 | J-160E登場 |
1955年 | トップが単板から合板に変更 フレットが19フレットから20フレットに変更 |
1957年 | ダイヤル式アジャスタブル・サドルから通常アジャスタブル・サドルに変更 セラミック製のサドル採用 |
1963年 | ナローネックからレギュラーネックに変更 サウンドホール周りのロゼッタがシングルリングからダブルリングに変更 セラミック製サドルに加えて、木製の素材も登場 |
1960年中期 | ヘッド角度が17度から14度に変更 |
1960年後期 | 厚めのピックガードに変更 ネジ固定式ピックガード登場 アジャスタブル・サドルがセラミック廃止され木製のみ ブリッジの向きが180°回転 |
1970年代 | ラウンド・ショルダーからスクエア・ショルダーに変更 アジャスタブル・サドルが廃止 大型ピックガードからティアドロップ型に変更 |
1979年 | 生産停止 |
1990年 | リイシューモデル(再販モデル)販売 トップが単板、Xブレイシング、P-100 |
1996年 | トップが合板、ラダーブレイシング、P-90に変更 |
2005年 | 生産停止 |
J-160Eは他のモデル同様に、Gibsonの仕様変更時期によってマイナーチェンジを繰り返しています。
J-160は高級ギターでありながら、あえて“鳴りにくい”ように、トップをラミネイト(合板)、ラダーブレイシングが採用されています。
理由はP-90(ピックアップ)のハウリング対策です。
一般的に14フレット位置でジョイント(接合)されますが、J-160EはP-90(ピックアップ)が指板とサウンドホールの間に設置されているため、15フレット位置と通常のギターとは異なります。
1990年、リイシューモデル(再販モデル)が登場します。
トップは単板、Xブレイシング、P-100で販売されますが、当時人気だったJ-45をベースにしています。
元々のJ-160Eとは異なった仕様で販売したことになります。

再販モデルのはずなのに、“鳴り”を優先したことで、ビートルズファンから不満が出たんだ…
おそらく不満の声が多かったことも影響して、1996年にトップが合板、ラダーブレイシング、P-90に変更されます。
合板と単板

特徴 | |
---|---|
合板 | 複数の板を組み合わせ 音の振動が伝わりにくい 強度があり、ハウリング防止 |
単板 | 1枚の板から出来ている 音の振動が伝わりやすい 軽いタッチでも響く |
ラダーブレイシングとXブレイシング

※J-160Eとは異なったギターで解説していますので、あくまでイメージとして捉えてください。
特徴 | |
---|---|
ラダーブレイシング | ラダー=ハシゴを意味する 単純な作りで、強度が強いとは言えない Gibsonの小型ギターに多く採用されている |
Xブレイシング | Martinが開発し、多くのギターに採用されている 強度、音量、音色のバランスなどが良い |
P-90とP-100

特徴 | |
---|---|
P-90 | シングルコイルでノイズに弱い アコギ弦(ブロンズ弦)の音を最大限拾えないため、エレキ弦(ニッケル弦)を張る |
P-100 | コイルを2つ重ねたハムバッキング P-90よりノイズに強く、クリアなサウンドが特徴 |
P-90の特性として、アコギ弦(ブロンズ弦)の音を拾いにくいため、エレキ弦(ニッケル弦)を使用することが多いです。
ピックアップを使用しないのであれば、アコギ弦(ブロンズ弦)を張って楽しむのもありです。
ヴィンテージのJ-160Eに搭載されているP-90を使用する場合は、ノイズが気になります。
リイシューモデル(再販モデル)のJ-160Eは、最初からアース処理されています。
ヘッド角度 17度と14度

※J-160Eとは異なったギターで解説していますので、あくまでイメージとして捉えてください。
特徴 | |
---|---|
14度 | 少し緩やかな角度なので、ナット上の弦の張力は17度に比べて弱くなり、音のサスティンは若干短くなります。 ただし、トーンが柔らかくなる傾向があり、よりウォームな音色になる場合もあります。 |
17度 | ヘッドが弦とネックに対して急角度になるため、弦がナットを通過するときの張力が強くなります。 サスティン(音の持続)が増し、トーンがよりクリアでしっかりしたものになります。 |
ヘッド角度はナットの消耗=チューニングの安定性にも影響を与えます。
ナット角度が緩やかであれば、消耗が少ないですし、逆にキツければ消耗が多くなります。
購入したい人へ

J-160Eを購入する際は、ヴィンテージかリイシューモデル(再販モデル)の選択になります。
ヴィンテージ
ヴィンテージって何年製?
ヴィンテージの定義はないため、何年から何年のギターを指すのか難しいです。
昨今、1990年、2000年付近の物までヴィンテージとして扱われようとしています。
今回は、1979年の生産停止までの個体をヴィンテージとして扱うことにします。
ヴィンテージを検討している人は、自分の直感で感じたギターを選ぶ人が多いため、ガイドは不要と考えます。
やはり人気なのはジョン・レノンが所有していた1964年前後の個体です。

ヴィンテージは敢えてボロボロの方が貫禄ある見た目でカッコいいよね。
価格:1,000,000〜1,500,000円
リイシュー(再販)
鳴りを重視する人
トップが単板、Xブレイシング仕様の1990〜1995年製がオススメです。
元々、J-45をベースにしているため、オール単板でJ-45特有の「ジャギジャギ」「ザクザク」感を楽しめます。
販売店にもよりますが、商品名に「Standard」と記載してあれば単板仕様の可能性が高いです。
オリジナル仕様を重視する人
トップがラミネイト(合板)、ラダーブレイシング、P-90仕様の1996〜2004年製がオススメです。
J-160E元々の仕様を楽しみたい人やビートルズが好きな人向けです。
商品名に「1964」と記載してあれば、1964年製をモデルにした合板仕様です。
価格:350,000〜400,000円
多く出回っているリイシューの相場はほぼ一緒です。
限定生産モデル
The Lennon Collection a Limited Edition Set J-160E (セット数不明) | ジョン・レンが愛用した3種類のモデル(サンバースト、サイケペイント、ナチュラル)の3本セット |
J-160E JohnLennon Limited Edition (550本限定) | 1962年製を再現したモデル ヘッドのロッドカバーには、ジョン・レノンのサイン |
John Lennon J-160E Peace Model (750本限定) | ナチュラル・フィニッシュで似顔絵は入る前のモデルを再現 ヘッドのロッドカバーには、ジョン・レノンのサイン |
70th anniversary John Lennon Model VS (500本限定) | ジョン・レノン誕生70周年モデル ヘッドにジョン・レノンのサイン 12フレット指板にジョン・レノンの誕生日インレイ |
70th anniversary John Lennon Imagine (70本限定) | ジョン・レノン誕生70周年モデル ヘッドにジョン・レノンのサイン 12フレット指板にジョン・レノンの誕生日インレイ オノ・ヨーコのリクエストにより採用されたホワイト・フィニッシュモデル |
70th anniversary John Lennon Museum Mode (70本限定) | ジョン・レノン誕生70周年モデル ヘッドにジョン・レノンのサイン 12フレット指板にジョン・レノンの誕生日インレイ ロックンロールホールオブフェイムに展示されているギターを再現 ナチュラル・フィニッシュで、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの似顔絵が描かれている |
1960s J-160E VS (75本限定) | 2016年に島村楽器より販売 1962年製を再現したモデル |
The Lennon Collection a Limited Edition Set J-160E
1999年にGibson Custom Shopから、ジョン・レノンが愛用した3種類のモデルがセット販売されました。
Gibsonの元ルシアー(現在、GUILDの製造・研究開発担当副社長)であるレン・ファーガソンが手がけています。
販売セット数が不明であり、中古市場にも出てこないため、幻のモデルと言っても過言ではありません。
John Lennon J-160E Peace Model
生産本数がジョン・レノンモデルの中では一番多い750本ですが、中古市場でも滅多に見かけません。
70th anniversary
ジョン・レノン70周年を記念して、3モデルが製作されました。
北川悠仁さん(ゆず)は、ImagineとMuseum Modeを所有しています。

全てのジョン・レノンモデルに言えるは、本当に手に入らないということだよ。
世界中のビートルズファンが所有して、手放さないからね。
まとめ

Gibsonという高級ギターメーカーではありますが、トップが合板、ラダーブレイシング仕様は、鳴りが良いとは言えません。
しかし、J-160Eにしか出せない音、見た目があるのも事実です。
ビートルズファンだけでなく、北川悠仁さん(ゆず)に憧れて手にする人も多いです。
記事内にも記載していますが、現在は生産が停止しており、個体数が他のギターに比べて少ないです。
個体が少なく、すぐに購入したくもなりますが、もし可能であれば実機を弾いてみた方がいいです。
自分が思っているアコースティックギターの音とギャップがある可能性があります。

ビートルズや北川悠仁さん(ゆず)のファンであれば、是非手に入れてみてね。


