YAMAHA FG-180をレビュー(赤ラベル)【評価】

FG-180

YAMAHA FG-180をレビュー(赤ラベル)【評価】

YAMAHA FG-180(赤ラベル)


1966年に国産フォークギター第1号として発売されたギターです。

FG-180=「赤ラベル」と認知されています。

赤ラベルとは?

ギター内部に貼ってあるメーカーラベルの色になります。

YAMAHAではギターの品番(年代)によってラベルの色を変えています。

その中でも評価が高いのが「赤ラベル」です。

ずの岩沢さんがデビュー当時、レコーディングで使用していたギターで本人が「バカ鳴り」すると言っていました。

現在、岩沢さんが使用しているメインギターのFg-CustomはこのFG-180を参考に作られたとされています。

そしてFg-Customを参考に作られたのがFGギターの集大成と言われるTheFG(生産完了)になります。

形は変わりますがFG-180の魅力は現在も継承されています。

この記事でわかること

  • FG-180の歴史
  • FG-180の仕様
  • FG-180の使用感
  • 購入したい方へのアドバイス

廉価版とされるFG-140と比較した記事もあるので参考にしてください。
FG-180/FG-140YAMAHA/FG-180とFG-140の違いを解説(ヤマハ/赤ラベル)

YAMAHA FG-180の歴史


FG-180は1966年10月から1972年6月まで生産されました。

価格は発売当初1万8000円で、当時の1ヶ月分の給料と言われています。

180と言う数字は価格から取ったとようです。

この期間、FG-180はマイナーチェンジを繰り返しているため同じFG-180でも異なるスペックの物が存在します。

伝説のライトグリーンラベル


FG-180=赤ラベルと認知されていますが、初期仕様は赤ラベルではなく、薄い緑(ライトグリーン)になります。

1966年〜1968年のわずか2年間のみ生産された物です。

1966年10月から2ヶ月の初期型はトップが単板で製作されたと言われています。
※生産本数は数十本

現在わかっている仕様は以下になります。

ボディトップ:単板スプルース
サイド:マホガニー
バック:マホガニー
ナット・セルロイド
ネックスケール:634mm
ヘッド:カーヴド・ヘッド・シェイプ
ヘッドロゴ:テクステンド(平体)ロゴ
ロットカバー:釣鐘型
※REINFORCED NECKの文字
ペグ:オープン
ピックガード:セルロイド
ブレイシング:Xブレイジング
シリアルナンバー:手書き
全長:1036.7mm
全幅:411mm
重量:1.9kg
塗装:ラッカー
MEMO

FG-180の基本仕様は「最初期の単板」と「変更後の合板」の大きな違いだけです。
その後、細かなマイナーチェンジはありますがライトグリーンラベル・赤ラベルの基本構造はほぼ一緒です。

現在、この最初期の単板仕様がどこにあるのかは不明。

そのため単板仕様のFG-180は伝説化しています。

メーカー側は単板仕様であった事実は確認しているため存在していることは間違いありません。

おそらく販売後、アーティストやギタリストの方に試してもらうために配ったと考えられています。

貴重な仕様と考えれば手離さないのが普通です。

販売開始の2ヶ月以降はトップが合板に変更されます。

現在、ライトグリーンラベルはオークションなどで高値で取引されていますが、希少価値の価格であり、実際のサウンドは赤ラベルのFG-180と変わらないようです。

参考価格(相場)
ライトグリーンラベル:10万円前後
赤ラベル:4〜6万円

ライトグリーンラベルから赤ラベルへ


1968年4月にライトグリーンラベルから赤ラベルに変更されます。

ボディ内部に貼ってある赤ラベルは2種類存在します。

デザインはほぼ一緒ですが、「YAMAHA」文字の形が微妙に違います。

2種を並べて見ないとわからないレベルです。

※何年から変更なるのか調べましたがわかりませんでした。

1967年
・YAMAHAロゴ「平体」から「長体」に変更
※YAMAHAロゴは微妙に異なるデザインが3種存在します。
1968年
・ロッドカバーが「釣鐘型」から「三角ストレート型」に変更
1969年3月
・ヘッドの「YAMAHA」ロゴが「音叉」マークに変更
※手作業で貼り付ける「YAMAHA」ロゴの文字ばらつき防止するために音叉マークになったようです。
・ポジションマーク「5mm」から」3mm」に変更
1971年
・ピックガードのサイズ変更

YAMAHA FG-180の基本情報

YAMAHA FG-180の使用感を語る

魅力あるサウンド


スプルースとマホガニーの組み合わせなのでマーチン「D-18」でよく言われる鈴鳴りです。

約50年前のギターなので、木が枯れカラッとした音がします。

購入した当初は音量があり、これがあの爆音ギターかと感じました。

しかし、購入後すぐにトップの膨れが発覚しリペアへ。

ブリッジを削ったことで弦高が低くなり、その影響で音量が下がりました。

あの爆音はどこへ…

激しいストロークをするとキレイな音が出なくなってしまったので、ピックで軽く弾いてあげるとキレイに鳴ります。

50年経過したギターなので労わりながらFGサウンドの魅力を楽しんでいます。

ポイント
全てのFG-180が“鳴る”とは限りません。
「劇鳴り」「近所迷惑ギター」と言われることもありますが、それはギター状態・セッティングしだいで大きく変わります。

以下の「YAMAHA FG-180を購入したい方へ」で詳しく書いていますが、ネットで購入する際「劇鳴り」の言葉には注意してください。

“鳴り”と言うのは個人によって感じ方が違うからです。

弾きやすさ


マーチンDスタイルのボディより小ぶりなので抱えやすいです。

元々、FGは日本人サイズに作られたとされています。

ネックはローポジションからハイポジションまでの太さがそこまで変わりません。

後に復刻版として発売された赤ラベル「FG-512SJ」「FG-522SJ」と比べるとネックが細く、ハイポジションまで弾きやすいです。

ナット幅が狭いため、弦と弦の間がやや狭い。

ソロギタースタイルというよりはピックで弾くスタイルの方が合っているように感じます。

オール合板なのに異常に軽い!

復刻版にTheFG(オール単板)がありますが、それより軽い印象です。

おそらく50年経過して水分が飛んだのと、合板でもギリギリまで薄く作られたからだと考えられます。

YAMAHA FG-180の不満点

不満点はありませんが、FG-180はトップの膨れが多いように感じます。

年月が経てばどんなギターでもトラブルは起きます。

ヴィンテージギターと付き合って行く上ではトラブルはしょうがないです。

YAMAHA FG-180を購入したい方へ

Fg-180は個体が多いので手に入れやすいギターでもあります。

注意点として状態が良いものはかなり限られます。

約50年前のギターなので必ずどこか不具合がある。

FG-180は購入後にリペア(メンテンナンス)する覚悟で購入してください。

トップの膨れを確認すべし


ヴィンテージギターを購入する場合の注意点

  • フレットの残り
  • ネック状態
  • ボディトップの膨れ

特に「トップの膨れ」を確認することが重要!

昔のYAMAHAギターはトップが膨れているものが多いようです。

フレットなどは簡単に打ち直しができますが“トップの膨れ”は簡単に直せません。

ただし!
ギターに詳しい人でない限り判断は難しい。

ましてやネットの写真だけで確認するのは不可能です。

私はインターネット(某有名楽器店)で購入したのですが、ホームページには“トップが膨れ”については記載がありませんでした。

個人(オークション・フリマ)から購入する場合は尚更気をつけてください。

正直、気をつけようがないのが実際の所です。

おそらく“トップの膨れ”について質問しても「膨れはありません」「わかりません」と答えられるだけです。

ポイント
FG-180を購入するのであれば実店舗。

必ずトップの膨れを確認すること!

オークション・フリマオークション・フリマでギターを購入するメリット・デメリット(注意点)

価格を見極める


FG−180(赤ラベル)は状態にもよりますが、3万円~6万円前後が相場です。

一時期、ゆずの岩沢さんが使用しているということで相場が上がりましたが現在は落ち着いています。

記事内の「YAMAHA FG-180の歴史」の所で触れましたが、ライトグリーンラベルは正直高い!

ライトグリーンラベルはコレクターズアイテムであり、FG-180のサウンドを楽しむのであれば赤ラベルで十分です。

ちなみに
私は6万円で赤ラベルを購入しましたが、その後に6万円で修理しました…

もしFG-180を購入することを考えているのであれば、「後に修理しなければならないかもしれない」と頭の片隅に置いててください。

オークションなどではもっと安く出ていることがありますが、状態が悪い物が多いです。

その場合は購入後に修理が必要になることを覚悟した方がいいです。

逆に相場より高く購入したから大丈夫かと言われても保証がないです。

すでに50年以上経過しているギターなのでトラブルがない個体は存在しないと考えられるからです。

稀にフルオリジナルパーツで売りに出されることがありますが、コレクターでない限りはある程度リペアされ調整された個体を購入するのがオススメです。

最後に

今回はYAMAHAのFG-180を紹介しました。

FG-180ギターは高級ギターにはない、国産ヴィンテージサウンドを堪能できるギターです。

私はFG-180以外にも数本のFGを所有しています。

世の中にはFGマニアの方が沢山いるようで“集めたくなるギター”でもあります。

FG-180に限らずFGギターは初心者・上級者・マニアの方までオススメできるギターです。

復刻版・後継機種の存在

1995年
YAMAHA FG誕生30周年記念としてFG-180(500本限定)を販売
※生産完了
2002年
赤ラベルの復刻として「FG-512SJ」「FGX-512SJ」「FG-522SJ」 を販売
※生産完了
2002年
FGの集大成モデルとして「TheFG」を販売
※生産完了
2016年
FG誕生50周年記念モデルとして「FG-180-50TH」を販売
2019年
令和の赤ラベル誕生
「FG5」「FGX5」「FX3」「FGX3」
※赤ラベルのデザインを一新

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8 COMMENTS

Deiqun

FG 180 入手して1年位たちました 他に サザンジャンボ taylor 310 chaki 所有してますが、毎日手に取るのは180です 自分のは音叉マーク 5mmドットで トップ単板っぽいです イレギュラーなものもあるという噂の物かもと 勝手に思ってます 演奏がショボイので そこをなんとかしていこうと ギター購入を止めようとしてるところで 最近 ベース 買っちゃいました。 こういう記事 大好きなので 頑張って下さい。

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もりそう

ありがとうございます。
私もFG-180はイレギュラー品があると聞いたことあります。
良いギターお持ちですね(^^)
ベースですか!
実は私も以前所有していたのですが、随分前に友達に売ってしまいました。
個人的にはエレキ欲しいです(笑)

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Deiqun

最近 ミサハマさんの動画みまして 高い弦は合わないといわれてまして、マーチンブロンズ弦はったら 高音が おさえられて バランス良くなった気がしました、自分のペースだと 20日もたないですけど、まめに指板キレイにしてます。

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もりそう

Martinのブロンズ弦はFGを購入した当初に張っていました。
その後はフォスファーに切り替えたのでが、今になってブロンズに戻そうかと思っている所でした。
FGにはブロンズ弦が合っているのかもしれませんね(^ ^)

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マサ

単身赴任11年目。
1968年製のFG-180とマーティンD-42を保有していましたが、
赴任先からの長期出張があったため、2本共に自宅へ撤収。
出張も終わり赴任先へ帰っても手元にギターが無く手持無沙汰の日々。
週末の休みに楽器屋さんで1968年製のFG-180を発見。
まだ、値札もなく店員さんに確認したところ、そろそろ販売にかける予定との事。
素晴らしくきれいなギターで、54年前の物とは思えないほど。
店員さんも気になったらしく、「おいくらでご購入をお考えですか?」と。
「5万円だったら買います」の回答をすると、店内関係者に確認し、
「本日ご購入であれば、それで結構です」の返事があり、即決で決めました。
オリジナルのハードケースも付属しており、シリアルナンバーは「621251」。
トップのふくらみもなく、本当にきれい!
試奏もしましたが、鳴りも素晴らしい。
現在の相場から5万円が適正価格か解りませんが、自分としては満足。
毎日の爪弾いています。
単身赴任が終了すると、自宅での弾き比べが楽しみです。

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もりそう

マサさん
コメントありがとうございます。
68年製ということはFG-180でも初期の方ですね!
FG-180の相場はここ何年も変わらず、6万円前後かなぁと思います。
状態が良いされていても、トップが膨れているのが多い印象を受ける楽器です。
それを5万円代、しかもオリジナルハードケースが付くというのはかなりお得ですね!
オリジナルハードケース付きというのは今ほぼないのではないでしょうか?
是非、FGサウンドを楽しんでくださいね!
弾き比べの感想も是非教えてください^ ^

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へたのよこずき

リサイクルショップで試奏した上でFG-180を入手して2カ月ほど経ちました。
最初ナットとサドルともTUSQだったので、何か高音ばかりキンキン響くような落ち着かない音がしていました。そこでいろいろな素材を試しながら、最終的にナットは自分で取り付けたTUSQ製、サドルは他のFGから転用したプラスチック製にして、ブリッジピンはローズウッドを装着することで落ち着きました。いい音で鳴っています。単に音が大きいというだけでなく、実に乾いて味わいのある深みのある音がします。
私は今までオベーションからモーリス、アリア、ヤマハに至るまで多くのギターを所有して来ましたが、このギターが一番のお気に入りになりました。FG-450グリーンラベルもとても良かったのですが、今はこれが最高です。
とても興味深い記事、ありがとうございました。

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もりそう

へたのよこずきさん
コメントありがとうございます。
ナット、サドル、ブリッジピンの素材ってホント大事ですよね。
私は牛骨にしていますが、TUSQは確かにキンキンするイメージがあります。
もしくは、取り付けてあった部品との相性もありますよね…
ナットの溝、取り付け角度、部品の消耗など様々な要因で音は変わりますよね。
記事内にも書きましたが、弦高によっても全く別物になりますし…
FG-180は海外ギターかしたら安価ですが、高級ギターにはない音があると思います。
それが今でもFG−180はもちろん、FGシリーズを好きな人が多いんだと思いますね。
好き勝手書いている記事を読んで頂きありがとうございます^ ^

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